2021年2月14日日曜日

『ただの文学』坂口安吾


ドストエフスキーの伝記というものは無数にある。ところでもし、神様の御慈愛によってドストエフスキーがよみがえり自伝を書いて、又死んだとする。他人の書いた伝記と、彼自身の自伝とが違っているのは当然だが、然し、自伝だから真実だとは誰も言えぬ。ドストエフスキー自身ですら、そうは言えない筈である。絶対の真実などいうものは、何処を探しても有る筈がない。

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