2021年2月16日火曜日

『作家的思想』豊島与志雄


如何なる作家にとっても、最初の数行は最も困難なものらしい。作品にはそれぞれ固有の世界があり空気がある。作者はその世界に飛び込み、その空気に肺を順応させ、其処に安住しなければならない。それは単に精神的なことばかりでなく、また肉体的なことでもある。ペンを執る手には、謂わば精神が持つ感覚と肉体が持つ意識とが在る。そして作者は全身的にはいり込む。

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