2021年2月15日月曜日

『ドストエフスキーとバルザック』坂口安吾


それに、この二人は決して行動の出し吝しみをしない。元来、日本の文学ではレアリズムといふことを、ひどく狭義に解してゐないかと私は思ふ。いつたい、空想といふことを現実に対立させて考へるのは間違ひである。人間それ自らが現実である以上、現にその人間によつて生み出される空想が現実でない筈はない。空想といふものは実現しないから、空想が空想として我々愉しき喜劇役者の生活では牢固たる現実性をもつてゐるのではないか。

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